研究開発

Neurogen が取り組む重点テーマ

主要プロジェクト

  1. HGF誘導因子の探索ならびに医薬品、機能性食品、美容品としての研究開発
  2. HGFの医薬品開発の推進
  3. NK4によるがんの凍結・休眠療法の確立

HGFとは?

私達の体には、ケガや病気で傷ついた組織を治す力(自然治癒力)が備わっています。

HGF(Hepatocyte Growth Factor;肝細胞増殖因子)は、生体の自然治癒力を支える内因性の組織再生・修復因子です。

HGFは肝細胞の増殖を促進するサイトカインとして発見されましたが、肝細胞だけでなく、c-Met受容体を発現している様々な細胞に作用します。HGFの有する抗線維化、抗炎症、血管新生促進、細胞死抑制作用は難治性線維化疾患などの治療に有効であることが示されています。

現在、HGFは急性腎不全や神経変性疾患等の治療薬として臨床治験が進んでいます。

HGF誘導因子とは?

HGFの産生量は、組織・臓器に傷害が加わると増加します。

この時、生体内に存在するHGF誘導因子(インジュリン)が働いてHGFの合成を高めています。

また、HGF誘導因子は食品や漢方薬などの天然物中にも存在することが明らかにされています。例えば、もずくや昆布などに含まれているフコイダンにはHGF誘導活性があります。

病気になった時に体内のHGFが欠乏すると、症状が悪化し慢性難治性となる場合があります。このような場合、HGF誘導因子は有効な治療薬となることが期待できます。

また、HGF誘導因子を日常生活でサプリメントとして摂取すると、病気の発症予防や健康維持にも有用です。


HGF誘導因子の作用機序

HGF誘導因子は作用機序により2つに分類できます。

遺伝子レベルで作用してHGFのmRNA量を増加させる物質(インターロイキン-1やプロスタグランジンなど)と、mRNA量には変化を与えずにHGF蛋白量を増加させる物質(ヘパリンやフコイダンなど)があります。

HGF誘導因子の実用化

HGF誘導因子は、難治性疾患の治療薬だけでなく、発毛剤や歯周病予防などの医薬部外品、アンチエイジング効果(美白、しわ・たるみの改善)を持つ美容品、さらに健康維持のための機能性食品としての応用が期待できます。

NK4とは?

がん細胞の多くはHGFシグナルを利用して浸潤・転移を行います。そこでHGFの競合アンタゴニストとしてHGFのα鎖領域であるNK4が中村らによって開発されました。

NK4はHGFがc-Met受容体と結合するのを阻害します。さらにNK4には独自の血管新生阻害活性があることも分かっています。

NK4の有する2機能性によって、様々ながんの浸潤・転移ならびに血管新生が抑制されることが多くの論文で報告されています。